「手紙」
本当はずっと
降参したいと思っていました。
だけど
降参するような弱い人とは
誰も友達になってくれないような気がして
戦ってるふりを
続けていました。
私がいつか
あなたに見せた武器。
あのピストルは おもちゃです。
キャンディーの弾が入ってる
おもちゃです。
時々取り出しては
おやつにしていました。
もしかしたら あなたは
そのことに気づいていたのかもしれませんね。
私はそろそろ 降参します。
私はずっと
いつか自分が
降参する日がくるだろうと思っていました。
あわよくば 降参した時
ひとりぼっちにならなければいいなと思っていました。
あなたは 私と
友達でいてくれますか。
答えを聞くのが怖いので
この手紙を投函したら
そのまま私は
どこか遠くへ旅に出ます。
いつか あなたと
キャンディーを食べられたらいいな。
あなたは
いちごとレモンとメロンなら
どの味か好きかな。
ありがとう。
私は降参します。
もう
正しい言葉を探すのも
苦いお酒をおいしいと言うのもすべてすべてやめます。
私は降参して
世界でいちばんつまらない人間になります。